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カタルーニャ生まれのもう一つのクリスマス人形Caga Tio(カガ・ティオ)

こんにちは、バルセロナ在住10年目のモニカ通信のモニカです。

Mくん
Mくん
「クリスマスって言うと、一般的にはサンタクロースがトナカイが引くそりに乗ってプレゼントを運んで来るって、子どもたちは信じているよね。バルセロナのクリスマスも、サンタが子どもたちにプレゼントを運んでくるのかなぁ。」

モニカ
モニカ
「いいえ、違うのよ。ここバルセロナのあるカタルーニャ地方では、一風変わった方法で、Caga Tio(カガ・ティオ)という可愛い丸太の人形が、子どもたちにクリスマスプレゼントを運んで来るのよ。」

ということで、今回はバルセロナのあるカタルーニャ地方生まれのもう一つのクリスマス人形Caga Tio(カガ・ティオ)の紹介をしますね。

カガティオって何?

Caga tió
(動画をクリックすると、画像が拡大します。)

クリスマスの時期になると、バルセロナ市内のクリスマーケットで目にするようになる赤いバレティーナの帽子を被った笑顔の可愛い丸太の人形、Caga tió(カガティオ)。

Caga tió(カガティオ)というのは、カタルーニャ語で排便をする丸太という意味ね。

別名Tronco de Nadal(クリスマスの丸太)とも呼ばれ、スペイン、中でもカタルーニャ地方とアラゴン地方では、プレゼントやお菓子を届けてくれるサンタクロースのような存在。

近年では人間が排便のポーズをしたカガネル人形がメディアによって世界中に知られるようになったけど、カガティオもまたカタルーニャ地方やアラゴン地方のクリスマスには、なくてはならない人形なのよ。

特にこの地方の子どもたちにとってはね…。

カガティオに込められた意味

Caga tió
(動画をクリックすると、画像が拡大します。)

カガネル人形と同じように丸太のカガティオ人形も排便に関連した背景があるのよ。

カタルーニャ地方には自然連鎖の恩恵に感謝する風習があって、大地から食物をいただきそれを自然の肥料のウンチとして大地に返すことで、翌年もさらなる五穀の実りを願うという意味があるの。

カガネル人形同様、笑顔がチャーミングな丸太のカガティオにもこんな意味が込められているなんて素敵なことね。

カガティオと子どもたち

Caga tió
(動画をクリックすると、別の画像が飛び出します。)

結構シュールな風習なんだけど、カタルーニャ地方では幅広く行われているようなので、どのように祝うのか紹介しますね。(※地方によって若干の違いはあります。)

12月8日、スペインの祝日でもあるこの日、カガティオは家にやって来ます。

(正確に言うと、親たちがクリスマスマーケットなどで、カガティオを買って来ます。)

まず最初に、子どもたちは家にやって来たカガティオの体が冷えないようにマント(毛布)を被せてあげます。

次に、12月24日のクリスマスイブの日までお腹を一杯にしてプレゼントを届けてくれるようにと、21日(又は22日)の冬至の日まで、毎日お菓子やナッツ、フルーツのお供え物をします。

クリスマスイブの夜、前もって親たちが布を被せたカガティオの下に、子どもたちに気付かれないようにナッツやキャンディなどのような小さなお菓子を隠します。

クリスマスイブの夜(又はクリスマスの朝)、カガティオを叩く棒を水で濡らして、カガティオがプレゼントを届けてくれるように、子どもたちは次のような歌を歌いながらカガティオのお尻に当たる部分を棒で叩きます。

Caga, tió
almendras y turrón
no cagues arenques
que son demasiado salados
caga turrones
que son más ricos
caga tió
almendras y turrón
si no quieres cagar
te daré un bastonazo
¡Caga, tió!

そうすると、カガティオがプレゼントのうんちをし、布を取ると下から主にナッツやキャンディなどのような小さなお菓子を出してくれる…という風習です。

そして12月25日のクリスマス当日は、カガティオの丸太を薪として燃やし、灰を土に還してあげます。

(※最近ではアパートで暖炉のない家庭が多いため、丸太を燃やすことは少なくなってきています。)

日本だと、クリスマスには枕元に靴下を置いて寝るという習慣があるように、国が変わればお菓子やおもちゃがもらえる方法もだいぶ異なってくるようね。

こうやって見てみると、文化の違いってとても興味深くって面白いわね。

いくつかの疑問…

Caga tió
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(疑問1)
なぜ人の姿をした人形ではなくて丸太の人形なのかというと、かつて電気がなかった時代に丸太で火をおこし温かさを届けてくれるので、光を届けてくれる存在として重宝されていることから来ているの。

(疑問2)
なぜ冬至の日までかというと、冬至の日は冬が春に変わっていく最初の日とされているからで、冬至の日までの冬の間にしっかりと栄養を蓄え、その栄養をりっぱなプレゼントのうんちにしてね、という意味らしいわ。

(疑問3)
毎朝、子どもたちがカガティオを見ると、カガティオがお供え物を食べて、なくなっているのは、親たちがこっそりと食べているから。

Cagarって下品な言葉?

Caga Tio
(動画をクリックすると、画像が拡大します。)

cagarという動詞自体は直訳すると品のない言葉だけど、スペイン人の日常生活では、別の意味でつかわれるフレーズで結構見かけるわね。

たとえばよく使われるスラングで”Esta cagado”は、”ありゃ、やっちゃったね。”のような感じでよく使われているわ。

だから、スペイン人自身はあまりそこまで”品のない言葉”としてとらえていないような気もするけど。

長いスペインのクリスマス

reyes magos
(動画をクリックすると、別の画像が飛び出します。)

クリスマスと言うと、日本ではカップルのためのイベントだけど、スペインでは家族のための大切なイベントなので、それぞれの家庭でパーティが行われるわ。

そして、そのクリスマスは新年を過ぎて、年明けの1月6日「REYES MAGOS」という「東方三賢人の日」まで続くのよ。

この日はキリストの生誕を祝うため東方より三賢人が駆けつけたという話が由来しているの。

これにちなんで、前日1月5日の夜には、東方三賢人を乗せた山車の一大パレードがバルセロナ市内で行われ、毎年大勢の家族連れがそれを楽しみにしているわね。

…まとめ

カガネルとその由来は共通する点があるものの、見た目がとても可愛らしいカガティオ。

バルセロナのクリスマスマーケットの主役でもあり、期間限定アイテムなので、ちょっとしたバルセロナのおみやげとしてもぴったりね。

カガティオは、ほとんどが手作り感ある木製のものだけど、お土産にしたくなるぬいぐるや陶器の置物もありので、お好きなカガティオを日本へ連れて帰ってあげてくださいね。

もし2021年、クリスマスの時期、バルセロナに旅行する機会があれば、ぜひ一つおみやげに買って行かれてはどうかしら。

最後まで読んでいただいてどうもありがとうございます。