こんにちは、バルセロナ在住10年目のモニカ通信のモニカです。
ということで、今回はバルセロナの街中で見かける面白いストリートアートを紹介しますね。
グラフティーって?
今日、誰もが知るグラフティーは、もともと公共物として使用される壁、トイレ、鉄道や地下鉄などに落書きすることから始まったの。
所有者の許可を取らずに描かれることも多く、世界各国で社会問題ともなっているわね。
バルセロナ市も長年に渡り同じ問題を抱えていて、その落書きを消すために毎年膨大な費用(=税金)を費やしていたの。
もともとはグラフティーを描く人達のあいだにも、より完成度の高いものを上書きするという暗黙の了解があるの。
でも、近年は彼らのモラルの低下によって、それも守られなくなってきているわ。
さらに公共施設や公共交通機関だけではなく、タブーとされていた個人住宅の壁、商店のシャッターにも描かれるようになったわね。
落書きからアートへ
バルセロナ市も落書きを減らす対策として、ストリートアーティストやグラフィティーのために自由に描いてもらおうと、「リーガル・グラフィティー(合法的な落書き)のための壁面」を解放し始めたの。
今、バルセロナ市内でグラフティーたちの最もホットな地区といえば、アーティストがたくさん集まるポブレノウ地区。
ポブレノウセンターの通りを挟んだ向かい側にある、かつて建物の外壁だった場所は、今では彼らのキャンバスやスケッチブックとして機能しているわ。
また、他のアーティストが新しいスタートを切ることができるよう、これらの作品は頻繁に塗り替えられ、そこでは常に新鮮な作品を見ることができるのよ。
企業がアーティストにグラフティーを依頼する理由
バルセロナの多くの企業がアーティストにお店のドアにグラフティーを描くよう依頼する理由は、
①アマチュアの落書きアーティストにペイントされることからお店のドアを保護するため
②お店が閉まっているときに、通行人にお店の中に何があるのかを感じてもらうため
…と、他にも様々あるわ。
素敵なストリートアートに出会えるスポット
ガウディ、ピカソ、ダリ、ミロと世界的に有名な建築家・芸術家を生み出したバルセロナは好奇心がとても掻き立てられる街。
彼らの有名な建築・芸術作品に隠れて見落とされがちだけど、バルセロナの街を歩いていると、無名だけど素敵なストリートアートに出会うことができるわ。
そんな見逃せない必見のスポットを、市内観光中に見て回れそうな範囲に限定して紹介しますね。
ピカソの壁画(大聖堂広場付近の建物)
COAC、Collegi d’ Arquitectes de Catalunya(カタルーニャ建築協会)の建物の壁に描かれている、パブロ・ピカソの作品。
壁画に描かれているのは、カタルーニャの有名サン・ジョルディ伝説、カタルーニャの民族舞踊サルダーナ、メルセ祭りのヒガンテス(巨大人形)、ユネスコ無形遺産の人間の塔など。
これがグラフティーと言えるのかどうかは疑問だけど、大聖堂広場から鑑賞できる世界的に有名な芸術家のストリートアートであることには間違いないわ。
住所:Plaça Nova, 5, 08002 Barcelona(地図)
キスをする唇(大聖堂広場付近の壁)
キスの壁画といえば、ベルリンの壁に描かれていたブレジネフとホーネッカーがお互いにキスを交わす「兄弟のキス」という壁画が世界的には有名よね。
ここバルセロナにも、Joan Fontcuberta というアーティストのキスをテーマにした作品画を見ることができるわ。
2014年、9月11日「カタルーニャの日」の300周年を記念して作られた作品。
バルセロナで一番インパクトのあるストリートアートじゃないかしら。
この作品の面白いところは、バルセロナ市民から「自由な瞬間」のというタイトルで集められた約4,000枚の写真。
壁に近づいてよく見てみると、一枚一枚違う写真をいろいろと組み合わせてできているのがわかるわよ。
住所:Plaça d’Isidre Nonell, 1, 3, 08002 Barcelona(地図)
Keith Haringのアート(バルセロナ現代美術館MACBAの裏)
ストリートアートの先駆者アメリカの画家、Keith Haring (キース・ヘリング)のグラフィックのコピー。
元々は別の場所にあった作品を、損傷が激しくなり維持するのが難しくなったため、ここに移設・復元されたの。
1990年にエイズで亡くなった彼の作品にはHIV感染をテーマにしたものが多く残されているわ。
美術館の建物の裏手にあるため、美術館に入場しなくても作品を見学することができるのよ。
よく見ると、これは日光東照宮の有名な彫刻「見ざる、聞かざる、言わざる」の三猿をモチーフにしているように見えるわね。
住所:Plaça dels Àngels, 1, 08001 Barcelona(地図)
メッシとロナウド(グラシア通り)
2017年4月、クラシコ(FCバルセロナ対レアル・マドリードの試合)の開催三日前に突如現れたストリートアーティストTvBoyの作品。
サッカーファンなら誰もが知る、FCバルセロナのリオネル・メッシ選手と、レアル・マドリードのクリスチャン・ロナウド選手をモチーフにした「Kiss and Rosa(キスとバラ)」。
作品が描かれた時期がちょうどサン・ジョルディの頃ということもあって、メッシが手にバラの花を持っているのが微笑ましいわね。
ピケとラモス(グラシア通り)
2019年12月、こちらもクラシコ(FCバルセロナ対レアル・マドリードの試合)の開催前に突如現れたアート作品。
FCバルセロナのジェラール・ピケ選手と、レアル・マドリードのセルヒオ・ラモス選手をモチーフにした「Spain Kiss and Talk(スペインよ、キスと話し合いを)」。
どちらもスペイン代表なんだけど、スペインリーグではお互いライバルチームの中核選手ね。
こちらの作品の背景には、2016年のカタルーニャ州の独立投票について、スペイン中央政府との話し合いが進まない対話という政治的なメッセージが込められているの。
そんな背景を知らなくても、サッカーファンなら気になる作品よね。
フェミニストたちの名言(ボルン地区)
地下鉄Jaume I駅を出て旧市街・ボルン地区の路地に突如現れる、世界中の女性活動家たちのポートレートと力強いメッセージの描かれたカラフルなグラフィック作品。
メッセージをいくつか見てみると…、
「”No hay nada más hermoso que la risa” (笑顔ほど美しいものはない)」Frida Kahlo
「”Este mundo no va a cambiar menos que entemos dispuestas a cambiar nosotoras mismas.”(私たちが自分自身を変えようとしない限り、この世界は変わらない)」Rigoberta Menchú
住所:Carrer de la Bòria, 3(地図)
そのほかにも…
バルセロナ市内にはたくさんのストリートアーティストの作品を、いろいろなところで見ることができるの。
バルセロナ市内からは少し離れるけど、Poblenou地区やSant Martí 地区では目を見張るようなストリートアートをお腹いっぱいになるくらい堪能できるわ。
最近では市内Eixample地区の元刑務所のあった場所の外壁もグラフティーに開放され、いろいろな壁画が描かれているわね。
…まとめ
もともと落書きから始まり、アート作品にまで上り詰めたグラフティー。
今回紹介したストリートアート以外にも、バルセロナの街を歩けば、いたるところでたくさんのグラフィーに出会えるはずよ。
スマホから目を離して、街中のちょっとした路地に入れば、突如として素敵な発見があるかもしれないわ…😉
(注意 : 上記の④、⑤、⑥や街中のグラフティーは時々描き替えられるので、変わっていることや消されている可能性があります。)
最後まで読んでいただいてどうもありがとうございます。