ガウディ

【2021年版】【徹底解説】世界遺産「アントニオ・ガウディの作品群②」グエル公園

こんにちは、バルセロナ在住10年目になるモニカ通信のモニカです。

Aさん
Aさん
「バルセロナ観光でサグラダ・ファミリアの次に人気の観光スポットっていえば、やっぱりグエル公園よね。世界遺産にもなっているぐらいだから、単なる公園じゃないんでしょ。」

モニカ
モニカ
「そうねぇ、もともとはあそこにブルジョワ向けの住宅地を作る計画だったのよ。それが、いろいろあって最終的に今のような公園になったの。」

ということで、シリーズ第二回目の今回は「アントニオ・ガウディの作品群」のグエル公園を詳しく解説していきますね。

グエル公園とは

Park Guell
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ガウディの一大スポンサーでも有り、良き理解者でもあったグエル伯爵が1900年に計画した英国風庭園式住宅地のこと。

グエル公園(Parc Güell)は、もともと単なる公園ではなく住宅地を外壁で囲み中へのアクセスを管理できるようなブルジョア向けの住宅地を建てるプロジェクトだったのね。

だけど、アントニ・ガウディとパトロンのグエル伯爵の夢であった「自然と芸術が融合した住まい」は当時の住民には受け入れられず、売れたのはグエル伯爵の家(現在は小学校)、ガウディの家(現在はガウディ家博物館)、他にトゥリアス邸の三軒のみ。

1914年に夢のプロジェクトは断念せざるを得なくなり、1922年バルセロナ市が取得、管理することになり、現在の公園となったの。

幸か不幸か、そのおかげで、現在でも公園内では二人の夢を感じられる芸術性の高い階段、広場、建物などを見学できるのよ。

グエル公園は、「アントニオ・ガウディの作品群」として、1984年に初めて世界遺産に登録されたときからの代表作の一つね。

以前は無料で入場できたんだけど、年々海外からの観光客の爆増によって、2013年から有料になっているわ。

2021年現在、主要スポットの見学には時間指定制の予約チケットが必要だけど、無料で入場できる裏技もあるのよ。

有料エリアと無料エリア

2013年以降、グエル公園は無料エリアと入場チケットが必要な有料エリア(=モニュメンタルゾーン)に分かれているの。

※2020年6月より、Covid-19の影響で、これまでの無料エリアはなくなり、全て有料エリアとなっています。また、早朝無料入場もできなくなっています。ただし、今後も状況は流動的なので、随時情報を更新していきますね。

グエル公園の公式サイト➡Park Güell Official Website

map park guell
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上記の地図中心のグレーの部分が有料エリアで、有料エリアと無料エリアの境にはゲートがあって、入場チケットの有無のチェックをしているわ。

残念ながら、オオトカゲ(ドラゴン)の階段、市場、ラ・ナトゥーラ(自然)広場の波状ベンチ、正門のお菓子の家など主要な見どころはすべて有料エリアになっているの。

でも大丈夫、有料エリアに無料で入場する方法があるので、これから説明しますね。

ただし、いったん有料エリアから無料エリアに出てしまうと戻れないので、有料エリアの見学を十分堪能したあと、無料エリアを見学するようにしてね。

早朝の無料入場

Park Guell

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有料エリアに無料で入場する方法というのは、実は開園時間前に入場することなの。

開園時間は日の出あたりの時間で、例えば、夏期7時半のオープンなので、それまでに入場すれば無料ということになるわね。

おかしの家のそばにある正面ゲート出口専用なので注意が必要だけど、早朝の無料の時間帯は正門出口からでも入場できるわ。

無料入場のメリット

◎ なんといっても、入場料10€がかからないし、チケット予約の必要もない
○ 時期によっては、公園から日の出を見ることができる
.      ⬆早朝入場が人気の大きな理由の一つ!
(東にある小高い丘と建物のせいで、水平線から太陽が上ってくるのは見れないけど、空が徐々に赤くなっていく光景はただ美しいの一言)
○ 大勢の観光客の混雑を回避できる
○ その日の時間を有効に使える
○ バルセロナの夏の早朝は涼しく過ごしやすい

バルセロナの日の出・日の入り時刻のチェックはこちらのサイトを参考にしてね。

無料入場のデメリット

✕ 早起きしないといけない(夏期は、7:30までに入場する必要がある)
✕ 日の出前に公園まで移動の場合、辺りはまだ暗いので治安の心配がある
✕ 予約チケットがないため、当然無料シャトルバスは利用できない
✕ バルセロナといえども、冬の早朝はかなり寒い
✕ 治安に関しては、冬にまだ暗く人通りの少ない道を一人で歩くのは治安的にも避けた方がよい。

なお、閉園後も無料で入場できるんだけど、夏期を除けば、辺りが暗くなってしまうので、見学には適していないわ。

ネットで事前にチケットを予約しておくことをおすすめする理由

毎日30の枠に最大400人までという制限がある。

繁忙期は、窓口で当日券を購入しようとしても売り切れのことが多く、残っていても何時間も後の入場時刻だったりする可能性がある。

ネットで事前に予約するとき、入場時間を指定するので、列に並んでも長時間待つ必要がない。

無料シャトルバスが利用できる。

無料シャトルバス

Park Guell

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グエル公園は最寄りの駅から離れていて、たくさんの観光客が利用する、最寄りの地下鉄L3Lesseps(レセップス)駅からでも、徒歩で20分以上かかるし、おまけに行きはずっと上り坂。

だけど、2019年から地下鉄L4のAlfons X駅から、青いバス「BUS GÜELL」というグエル公園直通の無料シャトルバスの運行が開始されたのよ。

ネットでチケットを事前に購入しておけば、この無料シャトルバスに乗車できるの。

見学時間の目安

Park Guell

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メインの見どころである有料エリアの見学は1時間あれば十分。

そのあと、ゴルゴタの丘など無料エリアも見学するなら、1時間半~2時間はみておいたほうがよさそうね。

チケットの種類・入場料

グエル公園の入場チケットは、基本的にはAdmission ticketの€10(約1,200円)の一択のみ。

ガウディの他の建築物が3,000円近くすることを思えば、半額以下なのはお財布にもやさしく助かるわ。

入場チケットは時間指定制で30分単位で枠が決まっていて、指定時刻より早く到着しても、また30分以上遅刻しても入場できなくなるので注意してくださいね。

開園時間

シーズンによって細かく変わるので、十分注意してくださいね。

・2021/02/15~2021/03/28: 08:30 – 18:00
・2021/03/29~2021/04/26: 08:00 – 19:30
・2021/04/27~2021/08/23: 07:30 – 20:30
・2021/08/24~2021/10/24: 08:00 – 19:30
・2021/10/25~2021/12/31: 08:30 – 17:30

上記の開園時間前と閉園時間後の時間帯は有料エリアに無料で入場できるわ。

2021年1月現在、Covid-19の影響で公園の一般観光客の開園時間は09:30 − 17:30となっています。なお、バルセロナ市民(要予約)に関しては、午前の06:00 − 09:30と夕方18:00 − 23:00も開放されています。

グエル公園のマップ

map park guell
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上記がグエル公園のマップです。グレーの部分が有料エリア。

※2020年6月より、Covid-19の影響で、これまでの無料エリアはなくなり、全て有料エリアとなっています。

有料エリアの見どころ

それではまず、有料エリア(モニュメンタルゾーン)の見所から紹介していきますね。

正面中央階段

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正面中央にある大階段にあるのが、グエル公園のシンボルとも言えるカラフルなタイルで装飾された全長2.4mの大トカゲ(ドラゴン)の像。

口は噴水になっているので、吹き出されるのは炎でなく水よ。

カラフルなトレンカディス(破砕タイル)で装飾された愛らしい姿は観光客のインスタスポットでもあり、おみやげものとしても人気。

大トカゲ(ドラゴン)の下の段に見えるのは、旧約聖書に登場するギリシャ神話でモーゼの守り神ネフシュタン(青銅の蛇)をモチーフにした蛇の像で、その背景はカタルーニャ州の旗のカラーになっているわ。

さらに真ん中に見えるのは、世界のへそと呼ばれるデルフィ神を象徴した石。

階段の最上部には、夏は日よけ、風の日は風よけになるオデオンと呼ばれるギリシャ劇場型のベンチがあり、ここもインスタスポット。

【中央階段のトリビア】

中央階段の構成は一番下から順に11段の階段と踊り場が3つ続き、世界のへそと呼ばれる踊り場までの数を合計するとちょうど33段!

この33というのは、まさにイエス・キリストがゴルゴダの丘で十字架に磔にされて死んだ年齢。

市場

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中央階段を上がった先にあるのが、ガウディが当初宅地が本格的に稼働したら、市場を作る予定だったエリア。

ギリシャ神殿で使われる86本のドーリア式の列柱が並んでいて、ラ・ナトゥーラ(自然)広場に降った雨水は、この市場の円柱の桶を通って、地下の貯水槽へ貯められる構造になっているの。

市場の天井を見上げると、ガウディの協力者で色彩センスに優れたジュゼップ・マリア・ジュジョールの数々のモザイク作品をみることができるわよ。

そこには太陽を象徴する直径3mの天井飾り「春」、「夏」、「秋」、「冬」が4つ、月を象徴する直径1mの天井飾りが14埋め込まれているの。

ガウディは天体の動きこそが市場で売られる生鮮食品の成長の源、その生命のサイクルをこの天井飾りで表現しようとしたのね、

この天井モザイクで特筆すべきは、一般的なタイル以外に瓶や皿、コーヒーカップ、陶器の人形などまで使われていて、そのほとんどがゴミとして捨てられた物をリサイクルしたものだといいうこと。

ラ・ナトゥーラ(自然)広場と波状ベンチ

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市場から左右に迂回して上がると、グエル公園のもう一つのハイライト、ラ・ナトゥーラ(自然)広場の波状ベンチに行き着くわ。

広場の後方がヤシの木など豊かな自然に囲まれているため、ラ・ナトゥーラ(自然)広場と呼ばれているの。

最初の計画では、この古代ギリシャ劇場のような半円形の広場は、周囲の邸宅から野外ショーを見られる劇場が建設される予定だったことから、ギリシャ劇場と名付けられる予定だったそう。

中央広場の前方は、波を打った形状の全長110mのベンチで囲われていて、見晴らし台を兼ねたベンチの先端はバルセロナの街が一望できる絶景ポイント。

トレンカディス(破砕タイル)で75種ものバリエーションで美しくデザインされたベンチも、ガウディの信頼の厚かった右腕的存在、ジュゼップ・マリア・ジュジョールによる作品で、完成までに6年を要しているの。

ガウディはデザイン性だけでなく、人間工学的に使い勝手にもこだわり、よく計算されていて、石のベンチのも関わらずぶっくりするほど座り心地がよく、長時間座っていられそう。

洗濯女の柱廊ポーチ

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公園正面左側に見えるのが、まるで浜に打ち寄せる大波をイメージさせる洗濯女の柱廊と呼ばれる通路。

洗濯女の柱廊を進んでいくと、柱が渦巻状になっていって、上にある通路を支えるための支柱が並んでいるわ。

支柱の一つにガウディがギリシャ彫刻の奉納像からインスピレーションを得たと言われる洗濯女の像があるため、この呼び名になったそう。

支柱の内側にも通路があり、もともとの土地の傾斜を利用して、このような不思議な形をしているのは、雨を避けるためのガウディのなりの工夫。

回廊の一部は2段構造になっていて、ここを歩いていると、洞窟探検をするような気分になるわね。

オーストリア庭園

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グエル公園の正面右側に見えるのが、オーストリアから贈られた樹木やキレイな花が咲くオーストリア庭園。

庭園の奥の通路は、洗濯女の回廊と同じように、上にある回廊を支えるための特徴的な支柱がならんでいるわ。

お菓子の家

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公園の正門出口の両脇に建つ2棟のメルヘンチックな建物、中央階段から見て右側が管理事務所で、左側が守衛の家。

グリム童話のヘンゼルとグレーテルに出てくるお菓子の家をイメージして建てられた言われているわ。

カタルーニャが生んだ鬼才ダリはタルト菓子と評し、英語ではジンジャーブレッドクッキー・ハウスと呼ばれているの。

左側の守衛の家は、定員30人の入場制限があるけど、内部見学が可能。

入場の列ができていれば、めぼしい展示品もないので、混んでいたらスキップしても全く問題ないわ。

面白いの守衛の家の水玉模様の毒きのこの形をした建物の頭頂部で、よく見ると水玉模様に見える白い部分はコーヒーカップを逆さまにして出来ているの。

なぜなら、コーヒー好きのガウディがグエル公園建設中にコーヒーは体に悪いと気づき、コーヒー断ちを決心した意志を表しているのがこのコーヒーカップを逆さにした毒キノコの煙突というわけ。

右側の管理事務所は、青と白の市松模様のタイルで装飾された長い尖塔が特徴的で、ドイツのバイエルン州の旗をモチーフにしているの。

これはガウディが劇場王と称されるドイツの作曲家ワグナーと、そのパトロンであったバイエルン王ルードヴィッヒ2世に敬意を表したものと言われているわ。

彼ら才能ある芸術家とスポンサーであるパトロンの関係は、まるでガウディとグエル氏の関係と同じようね。

内部はショップになっていておみやげを買うことができるわよ。

無料エリアの見どころ

有料エリアに比べると、はっきり言って見所というところはあまりないんだけど、無料エリアの見どころと言えそうな箇所ををいくつか紹介していきますね。

高架橋

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1881年にモンセラットの黒いマリア像がカタルーニャの守護聖母と宣言され、にわかに聖地巡礼の旅が流行りだしたの。

それをヒントにエントランスから頂上までの道を苦行の巡礼路としてキリスト教の信仰というテーマをここに表現したわけ。

なので、苦行の巡礼地らしく使われている岩がゴツゴツしていて、荒々しさを感じるわね。

また、このエリアの柱廊あたりでは多くのアーティストが路上ライブをしているのを聴くことができるわ。

ガウディの家博物館

Park Guell
1906年から1925年まで、ガウディが父親と姪と一緒に暮らしていた家。

家博物館は、有料のわりに、住んでいた当時のオリジナルの家具や寝具があるわけでもなく、外観だけで十分と評判で、唯一の見どころは、ガウディがデザインしたオリジナルの椅子ぐらい。

ロザリオの道

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公園東の入り口から入ってラ・ナトゥーラ(自然)広場へと続く道を進んでいくと巨大な石の珠が並んでいるのが見えるわ。

ロザリオの道と呼ばれ、石はロザリを象徴していて、その数54個と言われているけど、実際数えてみると133個(笑)。

この球体の石は、この未知が馬車も走れるように、車道と歩道を区分けするために置かれたものなのよ。

ゴルゴダの丘

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ゴルゴタの丘とは、エルサレムにあるキリストが十字架に磔にされた丘の名前。

ガウディはもともとこの丘に礼拝堂を建てる予定だったんだけど、プロジェクトはが中止になったため、代わりに古墳のような塚が作られたの。

ガウディが名付けたのかどうか定かではないけど、グエル公園の中で1番高いところにあり、かなり坂を登るので、この名で呼ばれているのかもしれないわね。

現地の地図には3つの十字架の丘(Turó de les Tres Creus)とあるように、頂上には3本の十字架が建っているの。

地中海をバックにしたサグラダ・ファミリアやバルセロナの景色を見渡せるのでとても人気があり、依然は上まで登ることができたんだけど、現在は崩壊の危険があるため立入禁止になっているわ。

ゴルゴダの丘まではずっと上り坂で少し大変なので、体力と時間がある人にはおすすめするけど、特に行かなくても何の問題もないわね。

グエル公園のショップ・お土産

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中央階段から見て、おかしの家の右側の「管理事務所」の中は、ショップになっていて、たくさんのグッズが所狭しと並べられているわ。

ショップ内で販売されているグッズの数々

  • トレンカディズ柄風のマグカップ、花瓶、スカーフ
  • たくさんの種類のポストカード
  • オオトカゲ(ドラゴン)の階段のTシャツ
  • トレンカディズ柄の小皿、カップ
  • マグネット、手帳、ケース入りミント
  • ガウディ建築物のカレンダー、コースター

…まとめ

もともとガウディとグエル氏の夢の英国風庭園式住宅地の計画が中止になったために公園と様変わりしたグエル公園。

世界遺産といえど、サグラダ・ファミリアのような衝撃的な感動は受けないかもしれないわね。

取り敢えず公園に行った、バルセロナの街を一望した、モザイクのベンチに座った、中央階段のトカゲとインスタ映えする写真を撮った…で、終わってしまう人も多いかも。

事前に下調べをして、ガウディ建築に少しでも興味を持ってもらえるよう、この解説が少しでも読者の観光の計画の少しでもお役に立てればうれしいわ。

最後まで読んでいただいてどうもありがとうございます。

参考➡グエル公園公式サイト